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新「地域」ブランド戦略―合併後の市町村の取り組み


新「地域」ブランド戦略―合併後の市町村の取り組み ほんの数年前まで全国に3200あった市町村の数は、2007年4月に1800あまりになった。2005年から2006年にかけて相次いだ市町村合併。いわゆる平成の大合併によるもの。
その背景には、地方交付税の取り扱いの変更による、財政的危機を乗り切ろうとする論理があり、多くの場合、将来ビジョンは充分検討されていない。
同時期に創設された制度が「地域団体商標制度」だった。2006年4月の商標法改正により認められた、地域名を関した商標制度。
そして今、合併後の市町村は、地域のブランド化を進めることにより、地域イメージを確立し、地場商品のヒットや観光客の誘致などの経済的な効果につなげようとしている。
本書には、7地域の取り組みが紹介されている。財団法人日本都市センターが2006年7月に立ち上げた「地域ブランド戦略研究会」の研究内容をまとめたものという。
「佐世保バーガー」など複数のブランドを育てる長崎県佐世保市。
思い切った地名変更でイメージ戦略を図った山梨県南アルプス市。
日本随一のワイン産地の特色を活かす山梨県甲州市勝沼町。
インターネット通販で特産を売り出す京都府京丹後市。
丹波ささやま黒豆課を作って柱を強化する兵庫県篠山市。
伝統の焼き物に日本酒の産地を加えて売り出す岐阜県多治見市。
そして、国際的な海洋都市を目指す北海道函館市。
それぞれの地域ごとに、取り組まれている内容を紹介し、それを分析した研究会による解説とアドバイスを付している。おそらくはこれから地域ブランド戦略に取り組もうとしている人たちの参考になるだろう。
もっとも、それだけでは通常のブランド戦略とそう大きく変わらない。問題は、副題にある「合併後」という視点へのこだわりだ。
本書を読み込み、自分たちの活動に役立てようとするなら、あえて「合併」にこだわってみたい。この制約を設けるところから、新しいブランド戦略が見つけられそうに思う。
本書では、勝沼町にみられる、「勝沼ブランド」を全市に広げるかどうかという葛藤と、合併で同一自治体になったことで異業種の組み合わせが可能になった多治見市の取り組みに注目した。
また、第一章で述べられている、多くの合併市町村が統一イメージでブランディングをしようとしているが、すでにある地域内の多様な資源を拾い上げる(たとえば東京が秋葉原や巣鴨や渋谷など多様な資源から構成されているように)手法も重要ではないかという指摘に、うなづかされるところが多い。
ぼくにはその先に、いわゆる企業ブランドとは違う地域ブランドの戦略なり理論なりがあるのではないかと思えるのだ。ブランド戦略を地域に落とし込むのではなく、ブランド戦略に地域が新しい手法をもたらす。そんな可能性。
その先には、地域間の競争による発展という視点も開けてくる。エルメスやルイ・ヴィトンやアルマーニが、それぞれ孤独ではなく、総体的にあってこそ「高級ブランド」市場が活性化するように。
それは単に協力という意味ではない。隣接地域ブランドが、あえて対決姿勢を見せることで、共存共栄する可能性も大いにあるだろう(わが丹波市は本書でとりあげられている篠山市の隣だが、手をとりつつ、しかし黒豆対小豆などあえて対決するのもおもしろそうだ)。
地域ブランド戦略が、ブランド戦略に新しい風を送り込むことを期待したい。

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