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日本人の意識と行動―日本版総合的社会調査JGSSによる分析


日本人の意識と行動―日本版総合的社会調査JGSSによる分析 日本版総合的社会調査(JGSS)というのは、2000年から行われている調査。
世帯構成や職業などのほか、政治意識や人生観、友人関係にいたるまで、多岐にわたる項目について尋ねる、ものすごい内容だ。サンプル数はおよそ5000で、6割くらいの回収率という。
調査結果は、実施から1年半後をめどに、個票ベースまで公開される。これを活用すれば、印象ではなくデータに基づいた論考が可能なのである(詳しくは「JGSSサイト」参照)。
本書は、その2000年から2003年までの結果をもとに、さまざまなテーマについて「日本人の意識と行動」を明らかにしたもの。
21世紀初頭のこの期間は、ちょうど小泉改革が進んでいた時期と重なる。「自己責任」に代表される価値観が世の中をおおった時期だけど、このわずか数年の間でさえ、日本人の意識が大きく移っていることに驚かされる。
たとえば。
「女性の幸福は結婚」に賛成する人は2000年の62.8%から2003年の51.4%に減少。
家計は3年間で明らかに悪化。
「自宅周辺(徒歩15分程度)に危ない場所がある」という人は、2000年52.3%、2002年で53.5%だったのが、2003年に60.0%まで急増。
一般的に人間は信頼できるかについては、必ずしも信頼が低下しているわけではない。
またこの時期は、2000年の「IT革命」以降、まさにインターネットが国民に浸透した時期でもある。
私用の電子メール利用者は2000年の19.3%から2003年は30.7%に、インターネットショッピング利用者も5.8%から11.9%に伸びている。
こうした全体的な流れの中で、本書が取り扱うテーマは多彩。
紹介されている知見から一部を紹介しよう。
出生に対して夫の所得はプラスに、妻の所得はマイナスに作用する。
中退経験があったり過去の生活水準が高かった若年者ほどニートになりやすい。
メディアとの接触は政党支持に影響を与える。
多重送信的な関係にある人は親密度・会話頻度が高いが、一方で閉鎖的である。
同質な他者は自民党支持をあげ、異質な他者は民主党支持をあげる。
子どものときに暴力を受けた経験があるほど体罰を容認する傾向がある。
家事頻度が高い方が環境への対応が積極的。
子どもがいない飼い主ほどペットを高く評価する。
社会的ハンデを背負っている(トラウマがある)と宝くじを買う傾向がある。
これだけをみても、いかに多くの分野の設問が調査においてなされ、それが社会を読み解く考察につながっていることがわかる。こうしたデータが揃ってくると、印象批評ではなく、データに基づいた対策を引き出すことにもなるだろう。
JGSSは2008年も行われる予定になっている。この調査が今後どのような日本人の意識と行動を描いていくのか、楽しみでならない。

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